【初心者向け】腹式呼吸の正しいやり方と毎日の練習法

「カラオケでもっと上手に歌いたい」「自宅でできるボイトレって何から始めればいいの?」そんな悩みを抱えている方にまずおすすめしたいのが、腹式呼吸です。
歌が上達するかどうかは、発声の土台である呼吸にかかっていると言っても過言ではありません。

実は、多くの初心者が自己流のまま間違った呼吸で練習を続けてしまい、なかなか成果が出ずに挫折してしまいます。
ですが、正しい腹式呼吸を理解して、毎日少しずつ続ければ、声量や音程の安定感が見違えるように変わってきます。

この記事では、初心者でも自宅でできる腹式呼吸のやり方と練習方法を、ステップごとにわかりやすく紹介します。
ボイトレ初心者でも今日から実践できる内容なので、ぜひ最後までチェックしてみてください!

目次

1. 腹式呼吸とは何?

腹式呼吸とは何か?

腹式呼吸とは、息を吸うときに胸ではなくお腹(正確には横隔膜の動き)を使って肺に空気を送り込む呼吸法のことです。
これに対して、日常生活で多くの人が自然に行っているのが「胸式呼吸」。
胸や肩が上下する呼吸で、浅く速くなりやすく、長く安定した声を出すのには向いていません。

歌において腹式呼吸が重視される理由は、「安定した息の支え(ブレスコントロール)」を可能にするからです。
声のブレがなくなり、音程も取りやすく、結果的に聴き手に届く通った声になります。

横隔膜の役割

腹式呼吸の主役ともいえるのが「横隔膜」です。
横隔膜は、肺のすぐ下にあるドーム状の筋肉で、呼吸時の空気の出し入れをコントロールしています。

息を吸うと横隔膜が下がり、肺が広がって空気が入ります。
吐くときは横隔膜が上がり、肺が縮んで空気が押し出される仕組みです。
つまり、横隔膜をしっかり意識し、鍛えることが、良い歌声につながるのです。

腹式呼吸がなぜ歌に効果的なのか?

腹式呼吸を使えるようになると、以下のようなメリットが得られます。

  • 安定した声量:息の流れが安定し、か細い声ではなく芯のある声になる
  • 音程の安定:余裕のある呼吸で音程がブレにくくなる
  • ロングトーンが楽になる:長く息を保てるので、表現の幅が広がる
  • 高音が出しやすくなる:声帯にかかる無駄な力を減らせる
  • 喉への負担が減る:喉だけに頼らず、身体全体で支える発声になる

これらは、プロのシンガーや声優が常に意識しているポイントでもあります。

腹式呼吸を身につけるまでの流れ

腹式呼吸は、知識だけでは身につきません。正しいフォームで毎日少しずつ練習することが大切です。
ポイントは以下の3つ。

  1. 身体で覚えること:最初は仰向けで寝て練習するなど、感覚的に掴むのが近道です
  2. 日常生活に取り入れること:歩きながら、会話中などにも意識して使うようにする
  3. 継続すること:1日5分でも、続けることで確実に身につきます

ここから先の章では、初心者がつまずきやすいポイントや、実際の練習方法を詳しく紹介していきます。

2. なぜ腹式呼吸がうまくできないのか?

多くの人が腹式呼吸をうまくできない理由

初心者が「腹式呼吸をしているつもり」でも、実は胸式呼吸になっているケースはとても多いです。
その原因には以下のようなものがあります。

  • 日常生活で胸式呼吸が習慣化している
    普段の会話や仕事中の呼吸では、肩や胸を使う胸式呼吸が主流です。
    そのため、いざ腹式呼吸をしようとしても、体がうまく反応しません。
  • 正しいフォームを知らない
    腹式呼吸は姿勢や体の使い方が重要です。
    姿勢が崩れていたり、無意識に肩が上がってしまうと、呼吸が浅くなり、横隔膜をうまく使えません。
  • 感覚がつかみにくい
    腹式呼吸は“お腹が動く感覚”を感じることがスタートですが、初めてだとその感覚自体がわからず、「できているか不安」という人も多いです。

よくある勘違い

腹式呼吸の練習を始めたばかりの人が陥りやすい誤解をいくつか紹介します。

  • 「お腹を膨らませればOK」と思っている
    物理的にお腹を前に押し出すだけでは意味がありません。
    大事なのは、息を吸うことで自然と下腹が膨らみ、吐くとへこむという横隔膜の動きを伴った自然な動きです。
  • 「力を入れて息を止める」のが腹式呼吸だと思っている
    息を止めてしまうと、身体が硬直して声が出しにくくなります。
    正しい腹式呼吸はリラックスが前提で、力みは逆効果です。
  • 「立って練習するほうが効果的」だと思い込んでいる
    初心者には、寝た状態(仰向け)で練習する方が横隔膜の動きを感じやすく、習得が早くなるケースもあります。

歌の中で腹式呼吸が使えない理由

練習では腹式呼吸を意識できても、いざカラオケや歌唱になると忘れてしまう……そんな悩みも多く見られます。
原因として考えられるのは

  • 呼吸と歌のタイミングを意識できていない
    歌に集中しすぎて、ブレスのタイミングが適当になり、結局浅い呼吸になってしまいます。
  • 緊張によって身体がこわばる
    人前で歌うときなど、緊張すると肩や喉に力が入りやすく、腹式呼吸がうまく使えなくなります。
  • 一曲通しての呼吸計画が立っていない
    どこで息を吸い、どのくらいの量を使うか、をあらかじめ考えておくことで、より効果的に腹式呼吸を活かせます。

家での練習が続かない理由

家でできるボイトレとして腹式呼吸は非常に優れていますが、継続できない人も少なくありません。
その主な原因は以下の通りです。

  • 効果が実感しにくい(→次章で「効果のチェック方法」も紹介します)
  • 時間や環境が整っていない
  • 習慣化する工夫がない(例:スマホのリマインダーや歯磨き中に行うなど)

3. 腹式呼吸の練習方法

ここでは、誰でも自宅で無理なく続けられる腹式呼吸のトレーニングメニューを、ステップ形式で紹介します。
各ステップには目的と効果、注意点を明記しているので、初心者でも安心して取り組めます。

ステップ0:まずは姿勢を整えよう

練習の目的

正しい呼吸のためには、呼吸を妨げない姿勢が重要です。

やり方

  1. 背筋を軽く伸ばし、肩の力を抜く
  2. 立っている場合は足を肩幅に開き、膝を少し緩める
  3. 座っている場合は骨盤を立て、背もたれに頼らず座る

注意点

反り腰や猫背にならないように、鏡で確認すると効果的です。

ステップ1:仰向けで腹式呼吸を体感

練習の目的

初心者でも横隔膜の動きを感じやすい最適な方法です。

やり方

  1. 仰向けに寝て、膝を軽く立てる(リラックスしやすくするため)
  2. お腹に軽く手を置き、息を吸ってお腹が自然に膨らむのを感じる
  3. 吐くときは、お腹がゆっくりとへこむように息を吐き出す
  4. 吸う:3秒 → 吐く:6秒、を目安に5分間繰り返す

ポイント

  • 肩や胸が上下しないように注意
  • 「ふぅ〜」と音を出して吐くと呼吸のコントロールがしやすくなります

ステップ2:立位で腹式呼吸

練習の目的

立って歌う時の体勢に近づけ、実践的な感覚を養う練習です。

やり方

  1. ステップ0の姿勢をとる
  2. 腹部に手を当てて、仰向けの時と同じように呼吸する
  3. お腹の動きだけで呼吸できるよう意識する

ポイント

  • 息を吐く際に「スー」や「シー」と音を出すと安定性が増します
  • 鏡の前で肩の動きがないかチェック

ステップ3:ロングトーンで腹式呼吸を活かす

練習の目的

息の安定と持続力を鍛えます。

やり方

  1. 腹式呼吸で大きく息を吸う
  2. 「あー」などの母音を使い、できるだけ一定の声量で発声
  3. 1回10秒以上を目指し、5セット行う(慣れてきたら20秒以上)

注意点

  • 喉ではなくお腹で支えて声を出す意識を持つ
  • 途中で声がブレたり弱くなるなら、息の量が不安定かもしれません

ステップ4:言葉と組み合わせてみる(短いフレーズ練習)

練習の目的

腹式呼吸を実際の歌唱に近い形で応用する練習です。

やり方

  1. 好きな曲の1フレーズを選ぶ
  2. 腹式呼吸で息を吸い、フレーズを一息で発声
  3. 息の量を意識しながら、何度か繰り返す

ポイント

  • 最初は短い言葉や歌詞で練習し、徐々に長くしていく
  • 録音して聞き返すと効果的です

ステップ5:日常生活に腹式呼吸を取り入れる

練習の目的

習慣化することで呼吸法を“無意識”に近づけることが狙いです。

やり方の例

  • 通勤中や入浴中にゆっくりと腹式呼吸を行う
  • スマホの通知を「深呼吸タイム」にしてみる
  • 会話中に少しずつ腹式呼吸を意識

ステップ6:カラオケで実践!

練習の目的

実際の歌唱に腹式呼吸を応用し、上達を実感する機会に。

やり方

  1. あらかじめ「どこで息を吸うか」を決めておく
  2. 腹式呼吸で息を吸ってから歌う
  3. 苦しくなったら無理せずブレスを調整
  4. 歌った後に、お腹や身体の使い方をフィードバック

より効果を感じるための工夫

  • 練習前後に声を録音して変化をチェック
  • 呼吸トレーナーやアプリを活用する(例:ブレスタイミング測定アプリなど)
  • 鏡・録音・動画などでフォームを客観視する

このように、腹式呼吸はシンプルだけど奥が深いトレーニングです。
継続と工夫次第で、確実に「声が変わる」感覚をつかめるはずです。

4. 腹式呼吸に関するよくある質問

ここでは、初心者の方が腹式呼吸の練習中によく感じる疑問やトラブルを、Q&A形式で解消していきます。

お腹が膨らんでいる感じがしません。これで合っている?

最初は感覚がつかみにくいものです。
仰向けに寝て、両手を下腹部に置いて練習すると動きがわかりやすくなります。
それでも不安な場合は、鏡で肩が上下していないか確認しましょう。
肩が動かなければ、腹式呼吸ができている可能性が高いです。

立つと腹式呼吸ができなくなります。なぜですか?

立位は体の重心が変わるため、腹式呼吸の感覚がつかみにくくなります。
まずは寝た状態で感覚を体に染み込ませ、座位→立位と段階を踏むことで、自然に立ってもできるようになります。

腹式呼吸で歌っているのに、声が通りません…

呼吸だけでなく、声の共鳴や姿勢、口の開き方など複合的な要因が関わっています。
また、腹式呼吸でしっかり息を吸っても、「息の流し方」が乱れていると声が不安定になります。
次のステップとして「発声練習」や「共鳴の使い方」も取り入れてみましょう。

お腹が疲れて痛くなります。やりすぎ?

正しく使えていれば、軽い筋肉痛のような感覚があることもありますが、無理に力んでいたり、腹筋を意識しすぎると逆効果です。
呼吸は“リラックスした状態”で行うのが基本ですので、痛みが出る場合は練習量を調整してください。

毎日続けられる気がしません…

最初から完璧を目指さず、「1日1分」「お風呂の中だけ」など小さな習慣に組み込むことがおすすめです。
慣れてきたら少しずつ時間を伸ばしていきましょう。
アプリのリマインダーや、練習記録をつけるのも効果的です。

腹式呼吸に関するまとめ

腹式呼吸は、歌がうまくなりたいすべての人にとっての土台です。
最初はうまく感覚がつかめなくても、少しずつ続けていくことで「声が安定した」「高音が出しやすくなった」「カラオケで褒められた」など、確かな変化が現れてきます。

今日ご紹介したステップ式の練習法は、どれも自宅で静かに行えるものばかりです。
忙しい日々の中でも、「1日1回だけ腹式呼吸を意識する」といった小さな習慣を取り入れることから始めてみてください。

そして何より、あなたが歌を楽しむことが一番大切です。
正しい呼吸法は、歌声だけでなく心と身体にも良い影響を与えてくれます。
自分のペースで、気負わず、楽しみながら続けていきましょう。

まずは今日、ステップ1の「仰向けで腹式呼吸を感じてみる」ことから始めてみてください。
その一歩が、あなたの歌を大きく変えるきっかけになるかもしれません。

腹式呼吸は、自宅でも十分に練習できます。
しかし実際には、「このやり方で合っているのか不安」「練習しているのにうまく歌に活かせない」といった壁にぶつかる人も多いのが現実です。

そんなときは、ボイストレーナーのサポートを受けてみるのも良い選択肢です。

プロの指導を受けることで

  • 自分では気づけなかったクセや間違いをすぐに修正できる
  • 効率よく成果が出る練習メニューを提案してもらえる
  • 定期的なフィードバックでモチベーションが続く

といった多くのメリットがあります。

「一人ではなかなか続かない」「もっと早く上達したい」
――そんな思いを感じたら、一度プロの力を借りてみるのも良いかもしれません。

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この記事を書いた人

ボイトレライター。

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